こちら村山学生部「住宅用火災警報器設置状況に関する政務調査」

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March

10

2013

住宅用火災警報器設置状況に関する政務調査

村山祥栄事務所政務調査報告書

住宅用火災警報器に関する調査

村山祥栄事務所 20期学生部
2013年3月

I. はじめに

 平成24年7月31日に消防庁が発表した資料である「住宅用火災警報器の設置状況の推計結果(平成24年6月1日時点)」によると、全国の住宅用火災警報器の推計設置率は77.5%となっており、平成23年度6月1日時点での推計設置率(71.1%)から6.4ポイント上昇している。地域別推計設置率(平成24年6月1日)では、京都市は93.0%という数字を示しており、日本一の設置率を誇る。
 この93.0%という非常に高い数字に疑問を感じ、全国の政令指定都市に対する電話調査と、京都市左京区の5つの町における戸別訪問調査を行った。その結果、住宅用火災警報器に関する京都市消防局の杜撰な調査と消防庁の曖昧な調査基準が明らかとなった。

II. 京都府が定める設置基準

 京都府の条例によって取付けが義務付けられているのは、寝室・階段・台所であり、取付けがすすめられているのは、居室である。また、7㎡(四畳半)の居室が5つ以上ある階に関しては、廊下にも火災警報器の設置が必要とされている。

III. 政令指定都市への電話調査結果

 消防庁が発表したデータの住宅用火災警報器の推計設置率について、完全設置だけではなく一部設置も含むか否か、各政令指定都市に対して電話調査を行った。その結果、札幌市・仙台市・新潟市・さいたま市・千葉市・横浜市・相模原市・浜松市・名古屋市・大阪市・堺市・神戸市・岡山市・広島市・北九州市・福岡市・熊本市の計17の政令指定都市が、推計設置率には一部設置も含めている、と答えた。しかし、川崎市(推計設置率83.3%)や静岡市(推計設置率67.1%)は完全設置のみで推計設置率を出している、と答えた。

IV. 戸別訪問調査

調査方法
【調査期間】平成25年3月5日から平成25年3月9日
【調査場所】貴船町、西林町、上川原町、西半木町、松原町
【調査人数】9人

京都市内の5つの町内の住宅を戸別訪問し、住宅用火災警報器に関して以下の4点を調査した。

  1. 住宅用火災警報器に設置義務があることを知っているか。
  2. 住宅用火災警報器を設置しているか。
  3. 住宅用火災警報器の必要設置個数を完全に設置しているか。
  4. 住宅用火災警報器の設置について、京都市消防局から訪問調査されたことはあるか。
戸別訪問調査:調査結果
 5つの町(貴船町、西林町、上川原町、西半木町、松原町)全体で約680戸あるうちで、回答に応じてくれたのは259件であった。そのうち、調査を受け入れてくれたのは195件(全体の75.3%)、調査を拒否されたのは64件(全体の24.7%)であった。以下に調査結果を示す。

~ 住宅用火災警報器訪問調査結果 ~

設置義務知っている177件87.6%
知らない13件6.4%
不明12件5.9%
202件
消防訪問調査88件43.6%
96件47.5%
不明18件8.9%
202件
必要個数設置済112件57.4%
個数不足47件24.1%
未設置 36件18.5%
195件
調査許可195件75.3%
調査拒否64件24.7%
259件

V. まとめ

  1. 京都市消防局の算出した推計設置率は、完全設置だけではなく部分設置も含めていた。
  2. 完全設置のみの設置率では日本一ではない。そのうえ、部分設置を含めた設置率についても、戸別訪問調査結果による数字と消防庁の算出した数字には差が認められる。
  3. 京都市消防局からの訪問調査があったと答えたのは、たった43.6%だった。
  4. 戸別訪問調査結果の留守率を考慮すると、戸別訪問という消防局の手法によって算出された設置率に疑問が残る。
  

⇒調査結果から、京都市における推計設置率93.0%という数字にますます信用性がなくなった。いくら高い数字だと言っても、部分設置を含めているのでは話にならない。また、京都市消防局の訪問調査が徹底的に行われているとは思えない。いったいどの地域に対してどのように調査が行われ、推計設置率が算出されたのであろうか。推計設置率算出の過程をはっきり示してもらいたい。

   そして、これは戸別訪問調査によって新たにわかったことだが、寝室・階段・台所に設置しなければいけないことを知っている市民は少なかった。設置義務は知っていても、その詳細までは知らないという声を多く聞いた。住宅用火災警報器設置促進、また、設置義務についてより多くの市民に知ってもらうためにも、今後の京都市消防局に期待していきたい。