京都駅八条口南側広場整備事業が完成目前を控え、大変なことになっている。歩くまち京都戦略の一環で、公共交通優先の広場作りは概ね評価できるが、計画段階から一般車乗降場が小さすぎるのではないかと懸念を訴えていたが、やっぱりえらいことになっている。
焦った京都市は四条通りのときの迂回看板同様、「京都駅には送迎用駐車場はありません」という看板を国道沿いに設置、混雑緩和に躍起になっている。
我々は、誰よりも先んじて問題提起が必要と、4月29日~5月19日の間、朝7時から深夜10時まで、手分けをして実地調査をした。その結果、平日昼間は問題ないが、平日夕方、また日曜日は慢性的に車が溢れ停められない状況が多く見られた。特にGWはほぼ送迎場は溢れっぱなしで、人の乗降が出来ずに通過する車両が多く、行列は表通りまで続き、大混乱、ドライバー同士でトラブルに発展するケースもみられ、大変な混雑ぶりを露呈した。いつ事故が起きてもおかしくない状況を呈していた。
さらに問題なのは、認知されていない状況にもかかわらずということだ。我々が実施したSNS「フェイスブック」を利用したネット調査では、「現在八条口整備事業が一部完成し、一般車乗降場ができたことを知っているか」という問いに半数の方が「いいえ」と回答している。役所の利用抑制の取り組みが進むだろうが、まだまだ利用者は増えるとみるべきだろう。また、役所は「ここは人を降ろすだけ。待つのは禁止」としているが、現状監視員が注意をしているが、我々の調査では迎車車両の平均停車時間は10.95分だった。個人、企業ともにお迎えすべきお客様が多いのは京都の特徴だ。大企業、外交関係、宗教・文化関係、大学関係などVIPもとりわけ多い。そんな方をお迎えする運転手つき車両がそう簡単に移動するだろうか。彼らもまたコインパーキングで待てとのことだが、かなり現実的ではない様に思う。加えて、調査の分析から、混雑する大きな要因はこういった観光客の送迎であることもわかってきた。まさに、「観光客を暖かく迎えましょう」という京都市市民憲章はどこへ行ったのか。
そもそも、一日42万人が利用する巨大ターミナルで乗降場が40台から一気に5台分に縮小したのだから溢れて当然だ。全国のターミナル駅と比較しても5台はかなり少ない。しかも、大体数台の乗降場をしかない駅は例外なく巨大な地下駐車場や整理場と呼ばれるヤードが用意されている。しかし、京都市は周辺のコインパーキングがあるので大丈夫と胸を張る。どこが大丈夫なんだ!と言いたい。コインパーキングはそもそも一時的な利用で、いつビルに変わるか分からない代物だ。将来的な不安は残る。
基礎自治体の施策は、目的達成に向けた政策誘導(歩く街にしたい→公共交通優先にする)と市民ニーズのバランスの上に成り立つべきものだ。本施策の政策誘導趣旨は評価できるが、余りに市民ニーズが追いやられている点について問題を感じざるをえない。
そこで、まちづくり委員会では、ふたつの提案を行った。
ひとつは、南側一般車送迎場の設置だ。八条通り南西側(カラオケ、パチンコ屋前)に観光バスの臨時停車場が作られるのだが、混雑時以外普段は利用の予定がない。そこで、ここを一般車用に開放する。もうひとつは、八条東口の前(地下鉄の出口横)に60台分の原付駐輪場が鎮座している。この一等地にたった60人が一日占拠する状況は余りに勿体無い。これこそ周辺に移動させ、ここにVIP駐車場を設置すべきだ。ちなみにVIPといっても誰でもお使い頂ける。ただ、10分300円程度の有料にする。それだけ掛かってもちゃんとお迎えしたいお客様を待つときにのみ利用頂ければよい。とにかく高いのは、場所が限られていることと短時間で退出いただける為の方策だ。これで、大幅な緩和ができる。