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観光政策の次なる一手、「IR(統合型リゾート)構想」とは

統合型リゾート構想

(写真:IRでマーライオンに変わる新しい街の顔を作ることに成功したシンガポール)

IR(統合型リゾート)構想 今年度予算には「京都らしいMICE開催誘致の為のマーケティング戦略の策定」ということで1,000万円の新規予算がつきました。最近京都の観光政策の目玉となっているのがMICE戦略というものです。MICE(マイス)とは、企業のミーティング等(Meeting),報奨・研修旅行(Incentive),国際会議(Convention),イベント,見本市 (Event,Exhibition)の総称です。これらは関連ビジネスも多く、一人単価も高いので、こういったものの誘致を強化して観光客を増やそうという試みです。
MICE誘致成功の鍵はオフタイムにあります。彼らはオンタイム、つまり昼間は働いていますので、オフになる時間の使い方がポイントなのです。分かりやすく言えば、見本市会場だけ作ってもそれだけでは候補地にならないのです。幕張はオンタイムに強いですが遊びがありませんので伸び悩んでいます。逆にマカオ・ハワイ・フロリダ・ラスベガスなどはオフタイムに強いので、どんどん集客が進んでいます。折角行くのだから、何も無い街より、カジノあり、世界遺産あり、グルメありのマカオに行ってみようじゃないかとこうなるわけです。
このMICE戦略上、最も有効な一手と言われているのが、IR(統合型リゾート・integrated resort)構想というものです。IRとは、MICE(会議、展示施設)、ホテル、ショッピングモール、レストラン、アミューズメント、リラクゼーション、カルチャー、グルメ、カジノ等が一体となった複合観光集客施設を指します。シンガポール、ラスベカス、シドニー、香港、ドバイなどで近年の観光客数が大幅に伸びている街はIRに基づいて設計されている町が大変多いのです。IRは都市競争の最強の武器であるにも関わらず、IR=カジノだという誤解のせいで、京都は議論を避けているのが実態です。しかし、IR=カジノというのは、IRの一側面で、ドバイも、香港も、メキシコのカンクンもカジノの無いIRが実現しています。
そもそもIRとは、かつて財政出動で進めてきた都市開発が財政難などで困難になり、都市開発を民間資本、海外投資を導入して進められないかというのがIRの出発点なのです。ただ、民間主導では採算性が優先され、マンション、オフィスばかりになってしまいます。そこで民間資本で文化的資本や収益性のないもの(オブジェ・シンボルなど)を作らせる為に、カジノなど収支が合うものに許認可を与えるという民間活力手法なのです。

すでに平成22年、国交省成長戦略会議報告書ではIRを「新しい観光アイテムとして検討する」とし、今年は日本維新の会が法案を提出する準備を進めています。
また地方でも大阪市では2013年度予算に調査費用300万計上し、沖縄 、和歌山、神奈川、東京、名古屋、千葉、宮城、福岡、北海道と京都以外の大都市は例外なく検討を進めています。
京都は、昔から全国から消費者が集い成り立っていた街です。文化、産業を育てるには富裕層が必要なのは歴史が証明しています。サンフランシスコのパナワインを育てたのはラスベガスの富裕層です。富裕層を京都に呼び込む仕掛けは、京都の産業を救うことにもなるのです。
しかも、東京・大阪に誘致を検討している投資規模は約1兆円規模、現在進められているマドリッドでのIRの投資規模は1.8兆円規模だと言われています。京都で考えれば地下鉄開設を大幅に上回る都市開発になるのです。
なぜ京都ほどの観光都市が、またMICE戦略を本気でやろうという京都が、この議論を避けようとするのか、検討すらしないのか?!批判を恐れず前に進むことに期待したい。