民間でも65歳までの雇用が義務付けられたことを機に、京都市でも定年後65歳まで再任用で雇用を継続することとなった。
それに伴い給与を変更する議案が提出された。
しかし、内容は驚くべきことに大幅な賃上げだった。
これまで定年後の再任用は一律23万円だったのを、最低給25.7万円から最大44.7万円(年収で694万円)に引き上げる給与表の導入の提案だった。
8段階の給与表を導入し、最低で年間40万円、最大で年間340万円の値上げなのだ。しかも、これまで再任用は平の係員扱いだったものを、継続して管理職として働き続けられるようにしようとするものだった。結果、若手職員の管理職ポストが減少し、風通しが悪くなる組織は硬直化、大卒の新規採用は一割減、市民の負担は増えるという何とも問題しかない提案だった。
にもかかわらず、それらを指摘すると、高給取りに当たる部長級以上の管理職は外郭団体に天下りできるから、実質発生しないから大丈夫との答弁。呆れてものも言えないが、外郭団体も整理縮小の時代、そのうち天下り先がなくなった幹部職員は、高給が保証される市役所に流れ込んでくる可能性は高い。
三段階ぐらいでこれまでの給与に少し色をつける程度に給与格差を付けた給与表を京都市は独自に作るべきだと思うのだが、「あくまで国に準拠で」の一点張り。大体、年頭予算編成時に、政府より公務員の給与カットを強く要請された時、自分たちのことは自分たちで決めると強気で反対したのはどこの誰だったのか。その舌の根も乾かぬうちに、今度は国に準拠とは、まあご都合主義とでもいうべきか、実に悲しい限りだ。結局、こんな職員を敵に回すような案件に他会派からは異論ゼロ、京都党のみが反対し、議案は通過、審議で我々が得たものは、公務員からの不評だけという悲しい結果だった。
後日、「デフレの正体」の著者・藻谷浩介先生から条例案をお見せしたら、
「こんな条例通すなどあり得ない。本当に懲りない面々ですな。マトモなのは京都党だけか・・・。」
と、慰労されたことで、少しだけ救われた気がした。