学生部共同研究
「水道局は水を売れ」と書くと、当たり前じゃないかということになるが、
私が申し上げているのは、京都市が京都市外に浄水を売ろうということである。
なぜ、そんなことを申し上げるかというと、実は今、京都市の水が余っているのだ。水の利用量は、人口減少と節水意識の高まりによって減少の一途を辿っている。
この20年で二割以上減少し、今後さらに減少を続ける。そこで、平成24年、4箇所あった浄水場を一箇所(山之内浄水場)廃止し、3箇所で市内一円の水を賄っている。それでもまだ施設能力には余裕がある。実に勿体無い話なのだ。
一方、京都市以外の水道はどうなっているかと言うと、周辺の市町村は自分のところだけでは水道を賄いきれず、京都府営水道から水を買って、自前の水と混ぜて供給している。京都市周辺には、京都府の浄水場が乙訓、宇治、木津の3箇所にある。とりわけ規模の小さい乙訓浄水場を利用している向日市、長岡京市、大山崎町の水道料金は京都市よりも最大1361円も高い。それぞれの3都市は京都府に対して年間15億円の水道料金を払っている。
同時に、乙訓浄水場では今後10年で建築改良費、修繕費あわせて50億円が必要だと言われている。維持管理費が重くのしかかる。
京都市には10億円以上の収益が見込める。
そこで、京都市最大の給水能力を誇る新山科浄水場の浄水を乙訓浄水場に売ればいいのではないか。新山科(255671?)の給水量は乙訓の給水量(22141?・一日平均給水量)の10倍で、乙訓の分まで供給してもなお施設能力にはかなりの余裕がある。
しかも、乙訓浄水場はなんと京都市西京区に位置し、乙訓浄水場まで水を運ぶのには市内の水道管を使えるので、新たな配管は最小限で済む。直接自治体への売却を進めると新たな設備投資が必要になるので、京都市はあくまで京都府営水道乙訓浄水場へ水を売却し、利益を得る。乙訓浄水場は不要になるので廃止し、その水を3自治体へそのまま流せば、3自治体はこれまでよりも安い費用負担で済む。
課題がないわけではない。乙訓浄水場もそうだが、こうした施設の設置は国から補助金が出ている。補助金は適正に目的に使うことを前提に配れれており、耐用年数前に廃止すると補助金を返させられる。(これが無駄な事業をやめるにやめれない役所の事情になることが多々ある。)この問題をどう整理するかだ。
ちなみに乙訓浄水場が難しいならば、宇治、久御山、城陽へ水を供給する久御山ポンプ場への供給も検討できる。いずれにせよ、具体的な検討を是非進められたい。
京都市上下水道局なので、どうしても市内のことにしか目が行かないが、少し大きな視野を持って府と連携を模索すれば、大阪のように一体化せずとも十分二重行政は解消することも可能なのだ。そしてそれは必ず利用者に還元される。
(文責 村山祥栄)
詳しくは京都市水道水売却に向けた検討(PDF)をご覧ください。