現在の位置です。
左京区選出の無所属、村山祥栄でございます。
このたびは、巻野渡議長、北川明市会運営委員長を初め、諸先輩方ならびに関係各位の多大なご理解と格段のご配慮を賜り、無所属議員に対しこういった発言の機会をお与え頂きましたことを心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。また、市会運営にかける先輩諸兄のご情熱と高いご見識に敬意を表する次第でございます。
さて、日本はまさに艱難の時代を向かえ、地方もまたかつてない厳しい職責を担い、桝本市長におかれましては、その舵取りは困難を極め、心中お察し申し上げます。
その中で、過去と対峙し、未来に向け、京都の進むべき道しるべをひとつひとつ打ち出し、市民の安寧と都市の将来を案じ、ぶれることなく京都の行政改革を前進させてこられた姿勢に市長与党の末席を汚す一員として、敬意を表すると共にますますのご活躍を祈念するものであります。そこで、更なる京都市の発展の為に、これらを踏まえた上で敢えて苦言を呈したいと思うわけであります。
さて、現在、国の方では教育基本法改正論議がございますが、率直に申し上げて現行の教育基本法においても、現在の教育はその責を果たしているとは言い難いと思うのであります。即ち、第一条にある教育の目的は、「人格の完成を目指し、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた、心身ともに健康な国民の形成を目指すもの」でありますが、現在の社会の荒廃、倫理・常識の欠如、ニートや精神疾患の激増、どれをとっても達成されていると言い難いのであります。
その点において教育の責任は大きいと言わざるを得ません。
我々若者世代においては、一体どういった社会システムの中で生かされているのかすら理解していない者が多いのであります。そもそも最低9年間の教育を受けた人間が、なぜ、税金や年金のシステムすら理解をしておらないのか、教育基本法8条に規定される「良識ある公民たるに必要な政治的教養」は本当に教育課程において修了しているのだろうか、そんな疑問を感じてならないわけであります。
昨月から高校における未履修がクローズアップされておりますが、ここでは、これら一連の時事とは一線を画し、教育の本質に迫る議論を求めるものであります。
ここに、私自身で行った京都市立中学校卒業生を対象にした中学社会科指導実施に関するアンケート調査結果があります。調査結果から明らかになったことは、中学で行われる社会科、即ち地理・歴史・公民の三科目を通じ最後までしっかり習ったと回答した生徒は実に全体の34% に留まると言う事実であります。公民に至っては48%、約半数近い学生が、「途中までしか習わなかった」と回答しております。
正しい歴史認識を持たざる若者、社会のシステムを理解せず大人になる若者、生まれ育った土地柄、お国柄を知らない若者、そんな若者が年々増えているような気がするのは私だけでしょうか。教育は国の基であり、義務教育はその根底にあたる基礎教育であります。
この調査結果から見ても、その根底が大きく揺るぎ始めている一因がここにあるのではないでしょうか。
また、現場における「ここは試験に出ないので飛ばします」といった俗に言う「飛ばし・中抜き」があるかどうかといった設問に対し、歴史では48%、公民・地理共に3割を越す生徒が「飛ばしがあった」と回答をしております。我々は、教科書に記載されている事は教えられているものだと信じております。昨今、教科書問題がクローズアップをされておりますが、教えるということを前提に議論がなされている訳であり、教えるかどうかを勝手な現場判断に任せているとすれば、現在行われている教科書の内容精査は全く無意味である事を意味します。
また項目ごとの履修状況を見ておりますと、教科書の後半に行くに従い、履修率は低下し、特に、歴史では戦後、公民では経済や国際社会、といった現代社会と極めて密接に絡み合う重要な項目に未履修が見られます。
特に、昨今の世界情勢の中で、近現代における日本人の正しき歴史認識が求められることは言うまでもなく、現代社会に生きる者にとって必要不可欠な経済という観念が指導されていないことは由々しき事態であります。
ゆとり教育の中で、大変タイトなスケジュールをこなさねばならない現場の苦しみも理解できないわけではありません。しかしながら、それは大人の、政治の、勝手な理由であり、日本国に生まれたる子供たちには学ぶ権利があり、教師には教えねばならない責任があります。
郷土愛を育み、日本の、京都の、風土、慣習、文化、歴史認識を正しく、より深く理解し、この国の社会システムを学び、日本国民として、京都市民として、なにより社会人としての素地を育てることが義務教育に課せられた責務であります。今一度、教育の原点に立ち戻り、その重責を再認識され、素晴らしい若人を世に送り出して頂きたいと切に願うとともに、指導漏れがなきよう学習指導要領および授業の進捗状況の徹底管理を行い、改善を求めるものであります。今後の対応も含めご所見をお伺いしたいと存じます。
併せてお尋ね申し上げます。現在ファイナンスパーク開設に向け着々と準備が進めらております。生活費の試算や契約を学ばせると言う子供たちに経済観念を植え付けるようなスチューデントシティおよびファイナンスパークの開設は、社会の基礎教育の上に、正しい倫理観や人生観を持って始めて効果的なものであり、少なくとも、前述のような問題を解決せずして、これ以上大変貴重な授業時間を割いて、当プログラムを導入することは、本質を見誤りかねない指導ではないでしょうか。また、仮に年に数日こういった授業を盛り込んだとしても、教育とは繰り返し積み重ねが肝要である為、十分な刷り込みができるとは思い難いわけであります。即ち、予算に呼応した成果が上がるとは思い難いのであります。これに対するご所見を賜りたいと存じます。
さて、次の問題に移ります。昨今、少子高齢化が顕著な中、子育て支援を徹底して行うことは最優先課題のひとつであります。同時に女性の社会進出を促進させることは日本必須の課題であり、少子化に歯止めをかける重要な対処法でもあります。すでに桝本市長の強い指導力で、これらの問題に直結する学童保育の整備は進んでおりますが、未だ、未整備地区があることは事実であります。この問題を昨今の財政危機の中でどう早期解決させるか。
そこで、別の視点での少子化対策として、地域の方々が学校の空き教室を使い、放課後に子供たちのお世話をする「放課後子供教室推進事業」がございます。これは、文部科学省が137億円の新規事業として19年度の概算要求を行っているところでございます。地域のお年寄と共生することで子供がのびのびと育ち、こどもを中心に地域力を高め、なおかつコストメリットが大きい大変画期的な事業であります。既に、京都市、下鴨学区では、この事業を文科省の補助金をうけ、教育委員会のご協力の下、本年度より実施しております。地域の高齢者などのボランティアも、参加する子供の数も着実に増加し、地域の地域による子育てが育ち始めております。
国家レベルでも、本年9月、学童保育と放課後居場所作り事業の棲み分けが出来ました。実施には、国家同様、縦割り行政の中でどう棲み分け行うか、国からの補助金の行方がどうなるか、といった問題が本市においても存在いたしますが、そんな問題の為に待機児童を放置する訳には参りません。地域力を生かしたこの事業を是非とも京都市でも、特に学童未整備地域を中心に促進させて頂きたいと存じます。待機児童の解消を掲げる桝本市長の念願を果たす為にも、万難を廃し、19年度の独自の予算措置を強く求めるものであります。
また本年より実験実施しております現場は、独自教室確保の問題、運営費の問題に悩まされ、その切実な願いは限界に近づきつつあります。絶対に彼らの生みの苦しみを無にしてはならないのであります。この2点をはじめ更なるご支援を賜り、本当にこういったすばらしい事業が京都に根付くよう心よりお願いを申し上げます。この点についてもご所見を賜りたいと存じます。
以上、敢えて苦言も含めお尋ね致しました次第でございますが、何卒真意お汲み取りの上、ご答弁賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、市長におかれましては、この10年の実績を糧に、引き続き京都の先頭にお立ち頂き、明日の京都を誘い続けて頂きます様お願いを申し上げ、私からの質問とさせて頂きます。
ご清聴ありがとうございました。