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2009年01月27日

産経新聞

身近な暮らし CHANGE 京産大生が府に三つの条例提案

ペット霊園規制 児童虐待防止 がん対策

地方自治に対する若者の関心の低さが指摘される中、「身近な暮らしの中の問題解決に僕らのアイデアを」と、京都産業大学(京都市北区)法学部の学生が、ゼミの授業を通じて4カ月がかりで独自の条例案をまとめ、京都府に提出した。各地でトラブルが多発するペット霊園や、同府が全国最低レベルの検診受診率に甘んじているがん対策などをテーマにしており、府側も「興味深い」と上々の反応。学生たちは「条例の制定過程がよくわかった。もっと洗練したものもつくりたい」と更なる意欲を見せている。

府側「興味深い」

立案したのは、同学部のゼミ「政策立案実務研究演習」の所属学生約30人。昨年末、京都府庁を訪れ、府幹部に3つのアイデアを提案した。

学生たちは、それぞれ府の現状や課題、他自治体の取り組み、なすべき施策や意義などが細かく記された分厚い資料をもとに、プレゼンテーションを展開。府幹部はじっくり聞き入って質問を投げかけ、意見交換は一時間半にわたった。

提案したのは「ペット霊園規制条例」「がん対策条例」「児童虐待防止の政策提案」。ペット霊園条例では、設置時に知事の許可や住民説明会の開催、火葬時の防塵、防臭対策などの義務付けを盛り込んでおり、府側は「確かに現状法令に不十分な点もある」と評価。児童虐待防止では、府警や医療機関に児童虐待の専従班を設け、早期発見や情報の蓄積、連携強化を図るとしている。

条例作成は、元京都市義で昨年9月に同学部講師に就任した村山祥栄さん(30)が発案。「机上の空論ではなく、条例の立案過程を学生が実践的に学ぶことで、社会の即戦力にしたい」との考えからだったが、作成過程ではあくまでアドバイザーに徹した。

学生たちはまず、どんな条例が必要かを日常生活から見つけ出すよう求められた。最初は良いアイデアが浮かばず、何度も村山さんに案を突き返された。

しかし過去のニュースなどを精査し、話し合いを重ねながら問題点を探る中で、3つのテーマに的を絞り込んだ。その後は、他自治体の取り組みの調査や電話取材、膨大なデータ収集、関連機関への現場訪問などを繰り返し、少しずつ思いを形にしていった。

行政のプロが行う仕事を素人≠フ若者がわずかな期間で行う厳しい作業だったが、学生は、行政参画意識の大切さやモチベーションを着実にはぐくんだという。2年の武本千明さん(19)は「府民全体のことを考えるのはとても難しかったけれど、自分が考える条例を実現したいと頑張れた」、林亜沙美さん(20)は「行政に文句を言うのは簡単だけど、解決策はなかなか難しい」と話した。

村山さんは「将来は、大学が政治におけるシンクタンクの役割を担い、政策立案できる土壌を作りたい」と話している。

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