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2003年06月01日

論談社

月間きょうの論談

先に行われた統一地方選は、世代交代が一つの特徴であったが、それを象徴するものとして、京都市議選左京区では、無所属新人で出馬した村山祥栄さんが、これまでの最年少当選タイ記録の25歳2ヶ月で見事に初陣を飾った。京都での世代交代の旗手を務めた格好の村山さんにインタビュー、出馬のいきさつから今後の抱負までを語っていただいた。

論談社

村山さんは、昭和26年の福島滋弥さん(上京区)の当選記録に並ぶ若さで市会議員になられたわけですが、政治家を志すきっかけとなったものは何ですか。

村山 祥栄

これといった特別のきっかけはありません。学校の勉強では社会科が好きでしたが、そんなことがあってかどうか、中学校時代に、漠然とながら政治に関心を持つようになりました。

で、高校卒業時に「東京に行けば、政治の現場が見えるのでは」と思い、東京の大学に行きました。しかし、そんなことで政治が分かるはずもなく、元民主党衆院議員で、無党派を掲げて今回統一地方選の神奈川県知事選に初当選した松沢成文氏の事務所を訪ね。秘書になりました。

秘書時代には、非初回の先輩たちに、青臭い生真面目な話を持ちかけては、うるさがられました。もどかしく悶々とする日々でしたが、そうした体験から、彼らは政治の現状をただ追認しているだけで、決して政治を変えることはできないと確信するようになりました。

大学を卒業して会社勤めをしましたが、学生時代に「新しい社会を創ろう」といった話をよくしていた仲間も、日常生活に埋もれる中で、志がどんどん失われて行くようなことも多く、「このままではいけない」という思いがだんだん募り、昨年の秋に退職しました。誰かが始めなければ、何事も始まらないですものね。

論談社

昨秋に出馬を決めてから、こつこつと地域回りを始められたようですが、地盤も看板もない全くゼロからの出発でしたね。

村山 祥栄

身内からも「何をするのか」とバカにされる始末でしたし、お金もサラリーマン生活2年間で貯めたものしかなかった。実質、味方は1人もいないような状況でした。

しかし、1人では何もできません。学生を含め1人1人と対話する中で1人、2人、最終的には結構多くの学生さんたちが集まり、運動を手伝ってくれましたし、選挙事務所も無償で借り受けるなど、本当に善意に支えられた手作りの面白い選挙ができた。

それが今回の5,004票の得票に繋がったと思っています。

論談社

選挙費用の収支を事務所に貼り、ガラス張りの選挙を強調するなど、パフォーマンスも話題を呼びましたね。

村山 祥栄

市民参加型の理想的な選挙をやろうと思っていました。自分のスタンスで戦える無所属で立候補し、選挙費用を全面公開しました。

カンパ資金と選挙運動に使ったお金をボードにして目に見えるようにしたものですが、お金をかけないように心がければ、実際、150万円ぐらいで選挙はできます。

よく政治と選挙は違うと言われますが、切り離して考えること自体、政治がよくならない原因だと思います。

論談社

清々しさを感じさせる初当選ぶりでしたね。

村山 祥栄

バックがないとダメだとか、色々言われますが、今回の当選は、純粋に皆さんの力だけで、送り出されたものです。本当に感謝しています。

今回の統一地方選では、全国的に無党派層が増えました。平成7年で流れが生まれ、11年で拡がり、今年に爆発した。京都だけが取り残されている格好ですが、私の当選で先例ができた。これが皆さんの誇りになり、これから政治を変えてくれる人の励みになってくれれば、と思います。

今の若者に対して、無関心というマイナスイメージが強いが、思いを持っている若者は多い。若い人は、分かり難いことを嫌がりますが、具体策には敏感に響きます。ただ、きっかけがないだけで、マグマがたまっている状況にあると思います。

論談社

京都市会では、無所属会派が消滅し、村山さんは「たった1人の反乱」となりますね。

村山 祥栄

正直言って、今後4年間、1人の無所属で、しかも経験のない若輩者が本当に仕事ができるのかどうか、不安だらけです。

でも、国政は政党政治が主体ですが、地方は違う。地域に密着したものがあります。「誰に投票しても一緒だろ」という有権者の政治不信を正さねばならない。「仕方がない」では始まらない。"変わる"という意識が市政を変えて行きます。

私に戴いた票の多くは、今の政治に対する不満や不信の表れ。この重みをしっかり受け止め、期待を裏切らないように頑張りたい。僕らの理想形は、従来の利益誘導型ではなく、政策論争で選ばれるようになることです。

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