京都新聞京の明日 この手で
京都市長選告示 訴え熱く
京都市長選が三日告示され、新人四人の十四日間の戦いが始まった。雪がみぞれ交じりの冷たい雨に変わる朝、立候補を届け出た門川大作さん(57)、岡田登志彦さん(61)、村山祥栄さん(30)、中村和雄さん(53)の四人は一斉に冬のまちへ飛び出した。節分でにぎわう神社や大票田を回り、市政改革、地域再生などの政策を、寒さに負けず訴えた。京都市の行財政にも、東京一極集中や格差社会など厳しく冷たい風が吹き付ける。暖かい暮らしを築くために市政をどうすればよいのか、有権者の願いも切実だった。
(中略)
村山候補
村山さんは午前十時半、北区の北大路バスターミナル前の演説。節分とあって「鬼にならないと京都市は変えられない」と訴えた。寒さで人通りはやや少なかったが、弁舌は絶好調。その後、地元の左京区へ。「『左京の村山』から『京都の村山』へと押し上げてください」と叫んだ。ポスターを貼り終えた支援者が戻った事務所で、午後一時の出発式に臨み、再度、車で元気よく飛び出した。中京区の四条烏丸交差点でもマイクを握り、ドライバーに直角に腰を折って支持を求めた。
岡田、村山、中村3候補 合同演説で健闘誓う
第一声を終えた岡田、村山、中村の各候補は午前九時半、京都青年会議所の呼び掛けで、中京区の市役所前に集まり、合同の街頭演説会を開いた。聴衆は約二百人だった。
御池通に選挙カーを並べ、車上から五分間ずつ演説した。演説後は他候補の支援者からも拍手が起こり、最後は庁舎を背景に記念撮影した。岡田候補は「できれば全候補でやりたかった」、村山候補は「選択肢を与える貴重な場だ」、中村候補は「政策勝負のいい機会」と語り、互いに健闘を誓った。
門川候補は「予定が詰まっている」(選対)として、参加しなかった。
論戦はやヒートアップ
京都市長選が三日告示され、前市教育長の門川大作(57)、会社相談役の岡田登志彦(61)、前京都市議の村山祥栄(30)、弁護士の中村和雄(53)の四候補が論戦を始めた。初日の訴えを紹介する。
村山祥栄氏 無新 借金と既得権益一掃
市長選を前にした大多数の市民の声は「市役所内部から候補者を出さないで」「相乗りをやめて政策本位で選べる選挙にして」だった。でも結果は正反対。「民意なき選挙」を打破するため、第三極として立候補した。
職員不祥事が続く市役所には自浄能力が働かなくなっている。外圧をかけないと変わらない。補助金のばらまきやいまだに続く同和行政を含め、長年のツケは市を破産寸前へ追い込んでいる。
不祥事根絶や職員削減、塩漬け市有地の売却は本気になればできるのに、市はずっとできずにいた。借金と既得権益、しがらみの一掃は命を懸けた政治家にしかできない。ぜひ私にやらせてほしい。原動力は市民の力だ。滋賀と宮崎の次は京都の番。あきらめないことからしか政治は変わらない。絶対に山は動く。
市役所改革 声そろえ 京都市長選スタート
三日告示された京都市長選は十二年ぶりに新人だけの争いとなった。立候補した前市教育長の門川大作、会社相談役の岡田登志彦、前市議の村山祥栄、弁護士の中村和雄の四候補は初日の訴えに新景観政策をはじめ、福祉や教育、相次ぐ職員の不祥事を取り上げた。真っ向から対立する主張もあり、熱い論戦が始まった。
市職員の不祥事では桝本頼兼市長の三期十二年間に九十三人もの逮捕者が出ただけに、各候補とも市役所の改革を叫んだ。
門川候補はこの日朝、事務所前で「市役所が変わらなければならない。もっともっと改革を進め、市民との揺るぎない信頼関係をつくっていく」と第一声。中村候補も同じころ、市役所前で「同和運動団体とのしがらみが断ち切れず、税金を無駄に使い続けている。しがらみのない透明、公正、公平な市政を」と声を張り上げた。
村山候補は初日の訴えを不祥事問題に重点を置き「市役所に自浄能力はない。外圧をかけないとこのまちは変わらない」と現市政を激しく批判。岡田候補も「まさに京都は不祥事の温床だ」と切り捨てた。
門川候補が新景観政策の推進を掲げ、経済活性化でも「伝統産業、中小企業、商店街が大変厳しい。地域力と人間力を融合させた時、新しい京都の産業、文化が生まれる」と訴えたのに対し、岡田候補は「景観条例によって地価は下がり、税収も下がった。総論賛成だが各論反対。条例を正しい姿に見直す」と真っ向から対立した。
一方、中村候補は「教育格差」を取り上げ「一部の特別な学校にだけ予算を使い、逆に学校運営費は二割も削った。耐震化も放置されている。一人一人の子どもを大切にする教育に変えていく」と市教委出身の門川候補に強い対抗心を見せた。
行財政改革でも村山候補が「二千人の職員削減」、門川候補も「千人削減」を主張したのに対し、中村候補は「京都高速道路など無駄な大型公共事業をやめる」と強く訴えた。
京都高速道路建設では各候補とも「凍結」などを打ち出しており、今選挙では論戦がかみ合わない面も。
五回連続となった「共産対非共産」の政党による二極構図に対し、政党の支援を受けない村山候補は「(自民、公明、民主、社民各党の)相乗りも市役所出身候補も駄目。市民の声を無視した正義なき選挙だ」、岡田候補も「非共産、共産の二枚のカードしか与えられなくて良いのか」と疑問を呈した。
これに対し、門川候補を支援する公明党府本部幹部は出発式で「さまざまな意見をまとめられるリーダーシップがある候補だからこそ、みんなが集った」と訴えた。
再生掲げ4新人激突 京都市長選スタート
任期満了に伴う京都市長選が三日告示され、いずれも新人で無所属の前市教育長の門川大作氏(57)=自民党、公明党、民主党府連、社民党府連推薦=、会社相談役の岡田登史彦氏(61)、前京都市議の村山祥栄氏(30)、弁護士の中村和雄氏(53)=共産党推薦=の四人が立候補、十四日間の選挙が始まった。新人だけの争いは十二年ぶり。桝本頼兼市長の三期十二年の評価や歴史都市・京都の方向性が問われる。投票は十七日で、即日開票される。
約二兆円の借金を抱える厳しい財政の下、昨年九月にスタートした新景観政策による景観保全の是非や少子高齢化に対応した福祉の充実、多発した職員不祥事の再発防止と信頼回復への具体策が主な争点となる。
同日朝、市選管に届け出た四候補は雪が降る冷え込みの中、各選挙事務所前の出発式で第一声を上げた。
市議会与党のほか連合京都や日本商工連盟京都地区など各種団体で作る「未来の京都をつくる会」が推す門川候補は「京都の人間力で新しい京都をつくる」と訴え、「京都ニューディールの会」の岡田候補は「経済再生で福祉を充実する」と力を込めた。
「よみがえれ!京都」が推す村山候補は「しがらみのある行政を改革する」、共産党や京都総評など民主団体の「いま正義を・京都市政を刷新する会」が推す中村候補は「透明で公平公正な市政に変える」と誓った。
市長選で四人以上が立候補したのは新人九人が争った一九八九年以来。政党レベルでは五回連続で非共産対共産の二極構図となり、門川候補と中村候補の争いに、岡田、村山両候補が無党派の支持を広げ、どこまで迫るかが焦点。大阪市長選、大阪府知事選に続く大型選挙となる。
今回から上京区に電子投票が導入され、選考する東山区と二区で実施される。期日前投票は四日から各区役所と支所で始まる。京北、久世、神川、淀の四出張所では十四−一六日に行われる。
毎日新聞新人4人が挑む
12年ぶりに交代する市長にふさわしいのは誰か――。3日告示された京都市長選に、▽前市教育長、門川大作氏(57)=自民、公明、民主府連、社民府連推薦▽洋傘製造卸会社相談役、岡田登志彦氏(61)▽前市議、村山祥栄氏(30)▽弁護士、中村和雄氏(53)=共産推薦=の無所属新人4人が立候補した。一時雪も降る寒さの中、14日間の選挙戦の火ぶたが切られた。
(中略)
村山祥栄候補(30) ウミ出すタブー挑戦
この選挙で市民が何を求めているのか。不祥事続きの市役所内からではなく、いいかげんに「共産対非共産」の実質的に選択肢のない選挙はやめて、ということだった。しかし政治家たちが、民意を無視して相乗りの二極選挙にしようとした。民意なき選挙は、正義なき選挙だ。そこで私は立候補した。
政治は税金の公平公正な分配をしなければならない。今の京都市民は、信頼のない銀行に預金させられているような不幸な状況。不祥事は、公務員の身分保障を逆手に取った雰囲気のまん延を絶たねばなくならない。もはや市役所に自浄能力はない。タブーに挑戦し、長年たまったツケやウミを出し切ることができるのは、しがらみがない私しかいない。