Murayama Shoei Official Web Site

現在の位置です。

  1. ホーム
  2. > 活動
  3. > 委員会質疑
  4. > 平成18年11月22日 定例会(第6回)

平成18年11月22日
定例会(第6回)

議長(巻野渡)

休憩前の一般質問を継続致します。市政一般について、村山祥栄議員に発言を許します。村山議員。

〔村山祥栄議員登壇(拍手)〕

村山 祥栄

左京区選出の無所属村山祥栄でございます。

この度は、冒頭に当たりまして、巻野渡議長、北川明市会運営委員長をはじめ諸先輩方並びに関係各位の多大な御理解と格段の御配慮を賜り、無所属議員に対し、こういった発言の機会の場をお与えいただきましたことを心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

さて、日本はまさにかん難の時代を迎え、地方もまたかつてない職責を担い、桝本市長におかれましては、その舵取りは困難極まれり、心中をお察し申し上げます。

その中で過去と対峙し、未来に向け京都の進むべき道しるべを一つ一つ打ち出し、市民の安寧と都市の将来を案じ、ぶれることなく京都の行政改革を前進させてこられた姿勢に市長与党の末席を汚す一員として敬意を表するとともに、ますますの御活躍を御祈念するものであります。そこで更なる京都市の発展のために、これらを踏まえたうえであえて苦言を呈したいと存じます。

さて、現在、国の方では教育基本法の改正論議がございますが、率直に申し上げて、現行の教育基本法下においても、現在の教育は、その責を果たしているとは言い難いと思うのであります。

すなわち第1条にある教育の目的は、人格の完成を目指し、勤労と責任を重んじ自主的精神に満ちた心身共に健康な国民の形成を目指すものでありますが、現在の社会の荒廃、倫理、常識の欠如、ニートや精神疾患の激増、どれを取っても達成されているとは言い難いのであります。

その点において教育の責任は大きいと言わざるを得ません。我々若者世代において、一体どういった社会システムの中で我々が生かされているのかすら理解していない者が多いのであります。

そもそも最低9年の教育を受けた人間がなぜ税金や年金のシステムすら理解しておらないのか。教育基本法8条に規定される良識ある公民たるに必要な政治的教養は、本当に教育課程において修了しているのだろうか、そんな疑問を感じざるを得ません。

昨月から高校における未履修がクローズアップされておりますが、ここではこれらの一連の時事とは一線を画し、教育の本質に迫る議論を求めるものであります。

ここに私自身が京都市立中学校の卒業生を対象にした中学社会科指導実施に関するアンケート調査の結果がございます。調査結果から明らかになったことは、中学で行われる社会科、すなわち地理、歴史、公民の3科目を通じ、最後までしっかり習ったと回答した生徒は実に全体の34パーセントにとどまるという事実であります。公民に至っては48パーセント、半数近い生徒が途中までしか習わなかったと回答しております。正しい歴史認識を持たざる若者、社会システムを理解せず大人になる若者、生まれ育った土地柄、お国柄を理解しない若者、そんな若者が年々増えている気がするのは私だけでしょうか。

教育は国の基であり、義務教育は、その根底に当たる基礎教育であります。この調査結果から見ても、その根底が大きく揺るぎ始めている一因がここにあるのではないでしょうか。

また、現場における、ここは試験に出ないので飛ばしますといった俗に言う飛ばし、中抜きがあるかどうかといった設問に対しては、歴史が48パーセント、公民、地理共に約3割を超す生徒が飛ばしがあったと回答しております。我々は、教科書に記載されていることは教えられているものだと理解しております。

昨今、教科書問題がクローズアップされておりますが、教えるということを前提に議論がなされているわけであり、教えるかどうかを現場の勝手な判断に任せているとすれば、現在行われている教科書の内容精査は無意味であるということを意味します。

また、項目ごとの履修状況を見ておりますと、教科書の後半に行くに従い履修率は低下し、特に歴史では戦後、公民では経済や国際社会といった現代社会に極めて密接に絡み合う重要な事項に未履修が見られます。

特に昨今の世界情勢の中で、近現代における日本人の正しい歴史認識を求められているということは言うまでもなく、現代社会に生きる者にとって必要不可欠な経済という観念が指導されていないということは由々しきことであります。

ゆとり教育の中で、大変タイトなスケジュールをこなさなければいけない現場の苦しみも理解できないわけではありません。しかしながら、それは大人の政治の勝手な理由であり、日本国に生まれた子供たちには学ぶ権利があり、教師には教えなければならない責任があります。

郷土愛をはぐくみ、日本の、京都の風土、慣習、文化、歴史認識を正しく、より深く理解し、この国の社会システムを学び、日本国民として、京都市民として、何より社会人としての最低の素地を整えていくことが義務教育に課せられた責務であります。

今一度教育の原点に立ち戻り、その重責を再認識され、すばらしき若人を世に送り出していただきたいと切に願うとともに、指導漏れなきよう学習指導要領及び授業の進捗状況の徹底管理を行い、改善を求めるものであります。今後の対応も含め御所見をお尋ね致します。

あわせてお尋ね申し上げます。現在ファイナンスパーク開設に向け着々と準備がなされております。

生活費の試算や契約を学ばせるといった子供たちに経済観念を植え付けていくというスチューデントシティ及びファイナンスパークの開設は、社会の基礎教育の上に正しい倫理観や人生観を持って初めて効果的なものであり、少なくとも前述のような問題を解決せずして、これ以上貴重な授業時間を割いて当プログラムを進めていくことは本質を見誤りかねない指導ではないでしょうか。

また、仮に年に数日こういった授業を盛り込んだとしても、教育とは繰り返し積み重ねが肝要であるため十分な刷り込みができるとは思い難いわけであります。すなわち予算に呼応した成果が上がるとは思い難いのであります。これに対する御所見も賜りたいと存じます。

さて、次の問題に移ります。昨今、少子高齢化が顕著な中、子育て支援を徹底して行うということは最優先の課題の一つであります。同時に、女性の社会進出を促進させることは日本必須の課題であり、少子化に歯止めを掛ける重要な対処法でもあります。既に桝本市長の強い指導力で、これらの問題に直結する学童保育の整備は進んでおりますが、いまだ未整備地区があることも事実であります。

この問題を昨今の財政危機の中でどう乗り越えていくか。そこで別の視点から、少子高齢化対策として地域の方々が学校の空き教室を使い放課後に子供たちのお世話をする放課後子ども教室推進事業がございます。

これは文部科学省が137億円の新規事業として19年度概算要求を行っているところでございます。地域のお年寄りと共生することで子供が伸び伸びと育ち、子供を中心に地域力を高め、なおかつコストメリットの大きい大変画期的な事業であります。

既に京都市では、下鴨学区がこの事業を文部科学省の補助金を受け教育委員会御協力の下、本年度より実施しております。地域の高齢者のボランティアも、また参加する子供の数も着々と増加しております。地域の地域による子育てが育ち始めているわけであります。

国家レベルでも本年9月、学童保育と放課後居場所づくり事業のすみ分けができました。実施には国家同様、縦割り行政の中でどうすみ分けを行っていくか、国からの補助金の行方がどうなるかといった問題が本市においても存在致しますが、そんな問題のために子供たちを放置しておくわけには参りません。

地域力を生かしたこの事業を是非とも京都市でも、特に学童保育未整備地域を中心に促進させていただきたいと存じます。学童の待機児童を解消させることこそ桝本市長の念願であり、また、そのために万難を排し19年度の独自の予算措置を強く求めるものであります。

本年より実験実施しております現場は、独自教室確保の問題、運営費の問題に悩まされ、その切実な思いは限界に近付きつつあります。絶対に彼らの産みの苦しみを無にしてはならないのであります。

この2点をはじめ更なる御支援を賜り、本当にこういったすばらしい事業が京都に根付くよう心よりお願い申し上げます。この点についても御所見を賜りたいと存じます。あえて苦言を含めお尋ね致しました次第でございますが、何とぞ真意をお酌み取りのうえ御答弁賜りますようお願い申し上げます。

最後になりましたが、市長におかれましては、この10年の実績を糧に、引き続き京都の先頭にお立ちいただき、明日の京都をいざない続けていただきますようお願い申し上げ私からの質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

(拍手)

↑このページのトップへ

副市長(上原任)

私からは放課後児童対策についてお答え致します。

放課後の子供たちの居場所づくりについてでありますが、学校で子供たちに自主的に学ぶ場や多様な体験活動の場、さらに、安心安全な活動拠点を確保することは今日的な課題であります。

そのため今年度、すべての児童を対象とした京都市独自の放課後事業を検討するため、学識経験者、PTA、児童館関係者等の御参画の下に検討委員会を設置致しました。

本年9月には、国においても原則としてすべての小学校区で1年生から6年生までのすべての児童を対象とする放課後子ども教室推進事業と、従来から実施している放課後児童健全育成事業を二つの柱とする放課後子どもプランが発表され来年度実施が目指されております。

このうち御指摘の文部科学省所管の放課後子ども教室推進事業は、小学校の施設を活用し指導員の配置や地域、学生のボランティアの参画により、学びの場、体験の場を確保する事業であります。

京都市と致しましては、巨額の予算を必要とするとともに、余裕教室など施設状況の点検、運営要員、ボランティアの確保、研修、こういった幾つかの課題がございますが、今後子供たちの健やかな成長のために検討を進めて参ります。以上であります。

↑このページのトップへ

教育長(門川大作)

義務教育の責務等についてでありますが、御指摘のとおり、郷土愛をはぐくみ、伝統、文化等への理解を深めることを通して社会人としての素地を培うことが義務教育に課せられた責務であり、そのためにはまず学習指導要領に示された基礎的、基本的な内容を確実に指導することが重要であります。

本市では、全国大都市で唯一すべての教員が学習単元別の指導計画を作成し、事前に校長に提出し、その指導の下、計画的な学習指導を進めております。

また、定期テストの機会や学年会議、評価会議などにおいて学習の進捗状況の把握と調整を行っており、今後とも一層の取組の徹底を図って参ります。

さらに、2学期制の導入、夏休みの短縮や入学式、始業式の早期化などを進め、今年度からすべての小中学校において、全国の標準を7日上回る全国最多の年間205日以上の授業日数を確保し、さらに、学習指導要領を超える発展的内容をすべての生徒に教える本市独自の指導計画、京都市スタンダードの実践を進めております。

今後ともこうした取組をより深め、生徒、保護者、市民に信頼される学校教育を推進して参ります。

中学生の体験学習でありますファイナンスパーク事業についてですが、今日の子供たちの教育の最大の課題の一つは、教室での学びと家庭や社会における生活とが乖離していることであり、このことが学習へのモチベーションが高まらなかったり生きて働く学力に結び付かない要因であります。

本事業は、それらを融合し、学びのモチベーションを高め、生徒の生き方探究、キャリア教育の実践に結び付けることを目的としており、京都ならではの産学公連携の下、世界97箇国で実績のある世界最大の経済教育団体ジュニアアチーブメントと協力して運営推進委員会を設置するなど着実な研究を積み重ね、幅広い市民の協力を得て準備を進めております。

本プログラムは、元滋野中学校に商店や銀行等から成るまちを再現し、家族構成等の具体的な姿を想定した社会人としての生活設計を行い学ぶものであり、施設での1日限りの体験学習で終わるのではなく、事前事後合わせて15時間の学習を実施します。

事前学習では、税金、社会保険の意義、貯蓄や消費等の自己の生き方に照らしたお金の使い道などを考えさせ、体験学習では20業種の店舗から得る情報を基に生活設計を行い、自分の消費生活等を振り返る事後学習につなげます。

本学習を通じて教科等で得た知識を活用し、社会にあふれる情報を適切に選択収集する力や生活設計能力を育成するとともに、働くことの真の意味や社会生活の重みを実感させ、現代社会において失われつつある望ましい勤労観、職業観の素地や、親への感謝の念をはじめとする様々な道徳観をはぐくむなど大変有意義な取組であり、ニート問題の解決にも大きな期待が寄せられております。

今後、子供たちにとって有意義なものとなるよう来年1月の開設に向け小学生を対象としたスチューデントシティと共に万全の取組を進めて参ります。

以上でございます。

↑このページのトップへ